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2025年10月25日

快適な暮らしには欠かせない「片付け術のススメ」

住宅プランナーの佐藤です。
普段はお客様の家づくりのお手伝いをしていますが、実は私は、昔から片付けが得意なタイプではありませんでした。仕事柄、間取りや収納のご提案をする機会が多いのに、いざ自分の家では「必要なものがどこにしまったかわからない…」と探すことがしばしばありました。
そんな環境を変えたいと思い立ち、数年前に【整理収納アドバイザー2級】の資格を取得しました。
今回は、その学びの中で「これは衝撃だった!」と感じた片付けの考え方を、皆さんにご紹介したいと思います。


■「モノを捨てる」ことから始まる整理術

【整理収納アドバイザー2級】公式テキスト『一番わかりやすい整理入門』には、整理収納の基本が体系的にまとめられています。
印象的だったのは、「整理上手になるには“モノを捨てる”ことから始める」という考え方です。
つい「収納グッズを買えば片付く」と思ってしまいがちですが、根本は“モノを減らす”こと。
買うことばかりが先行して、手放すことを後回しになってはしていませんか?

特に実家が広かった方は、モノを捨てる習慣があまりない傾向にあります。
収納スペースが多いと、つい「とりあえず入れておく」ことができてしまうからです。でもそれを続けていると、いざという時に本当に必要なものが見つからない、なんてことにもつながります。

一番わかりやすい整理入門

■「収納」は“しまい込む場所”ではない

次に印象的だったのが、「収納は“しまい込む場所”ではなく、“普段使うものをしまう場所”」という言葉です。
これは私にとって、目からウロコの発想でした。

“もったいない”という気持ちで使っていない物まで押し込み続けると、本当に必要な物が収納からあふれ出してしまいます。
結果、リビングやキッチンのカウンターにモノが増え、「片付けても片付けても散らかる…」という悪循環に陥ります。

整理収納の基本は、「使う」「使っていない」を冷静に見極めること。
たとえば、半年以上使っていないモノは“今の自分には必要ない”と判断して手放す勇気を持つことが大切です。


■トヨタに学ぶ「”いつか使う”は諸悪の根源」

有名な言葉に、“トヨタのお片付け”の格言「いつか使うは諸悪の根源」というものがあります。
世界の「トヨタ自動車」には、子会社を含め約38万人もの社員がいるそうです。その一人ひとりが、毎日たった15分探し物をしているとしたら、会社全体では膨大な時間の損失になります。

だからこそ、トヨタでは「誰にでも分かる収納」「不要なものを持たない」を徹底しているそうです。
これを家庭に置き換えてみるとどうでしょうか?

冷蔵庫の奥から賞味期限切れの調味料が出てきたり、クローゼットに何年も着ていない服が眠っていたり…。「いつか使うかも」と思って取っておいたものが、実際に“使われる日”はほとんど来ません。

冷蔵庫の奥から賞味期限切れの調味料が出てきたり、クローゼットに何年も着ていない服が眠っていたり…。「いつか使うかも」と思って取っておいたものが、実際に“使われる日”はほとんど来ません。

統計上、いつか使うかもととっておくモノのうち、また使うことがあるモノは5%未満というデータがあるそうです。

全部捨ててしまう必要はありませんが、「全部取っておく」のも危険です。どんなに広い家を建てても、モノを増やし続ければいつか“収納の限界”が訪れます。


■引っ越しをしない=モノの見直し機会が減る

家を建てると、賃貸のときのように気軽に引っ越すことはほぼなくなります。
それはつまり、「モノを整理するタイミング」が減るということです。

引っ越しは強制的にモノを見直す絶好の機会ですが、持ち家ではそういった“リセットの機会”がないため、年々モノが増えていく傾向にあります。

仮に家の中のモノが毎年1.1倍ずつ増えていったとすると、5年後には約1.62倍に。10年後には2倍以上にもなります。
モノが増えれば掃除がしづらくなり、家の中が狭く感じるようになり、結果的に「せっかくの新居なのに、なんだか暮らしづらい…」と感じてしまうことも。

家の快適さを長持ちさせるためには、建物の性能だけでなく、モノの量も適正に保つことが大切です。


■まとめ ~片付けは“暮らしのメンテナンス”~

片付けとは、単に見た目をきれいにすることではなく、“快適な暮らしを維持するためのメンテナンス”だと感じています。

家づくりを考えるとき、間取りや断熱性能、デザインなどに目が行きがちですが、日々の暮らしやすさを決めるのは「収納のしやすさ」や「モノとの付き合い方」です。

モノを厳選し、使いやすく収納し、不要なものを手放す。
それを繰り返すことで、住まいはいつまでも気持ちよく、自然とお金が溜まっていくサイクルになります。

耳が痛い内容だったかもしれませんが、私自身が学びの中で痛感したことを、皆さんにもお伝えしたくて書かせていただきました。
「片付け」は、快適な暮らしをつくるための最強のスキルです。
ぜひ今日から、家のどこかひとつでも“整理”にチャレンジしてみてください。